濁生の願い (2019年10月5日)

自身のブログから記事を丸ごとこちらへ転載するのがどれぐらい手間かの検証がてら、もうちょっと懐かしさのある書きモノを一つ。


これは、2019年10月5日 純生CHRONICLE3ブログで公開したものを、一部改変したものです。

主人公の「濁生(だくなま)」はLv41の見習いダークアヴェンジャー。あるモノに興味を抱いたのでありました・・・


~   ~   ~







濁生「うーむ、純生のこの『ぬめりのある防具はいいな。私も欲しいなぁ。」


パンサー「ぐるるるるる…」



濁「このDC重は… 大変立派なものではあるが、なんというか、いまだLv41の私には大仰過ぎる。なんとも着心地が悪い。身の丈にあった、それでいて、こう、ぬめりのある防具が欲しいものだ…」


パ「ぐるるるるる…」


濁「とはいえ、私の手持ちでは厳しいし、誰かに色仕掛けで『ねぇ、装備貸して~ん』 とか擦り寄れるような美貌でもないし…」


パ「ぐるるるるる…」


濁「なんですか、ニャンニャン。言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ」





パ「ったく、贅沢な悩みだな、と」



「うおっ!本当にしゃべった!! 鳥山マンガかっ!」



パ「まあ、その方が余計な紙幅を割かんで済むだろうからな。装備のことは純生なり盟主なりに相談するしかないだろうよ」


濁「むー、純生があの青重を差し出してくれるとは思えんし、ニャンニャンの言うとおり、盟主に聞いてみるかな」


パ「やめろよ、そのニャンニャンっての」










【ドワーフ村 エルダーホール】








Watch「お、濁生だ。どうした?イボ痔が悪化でもしたのか?」


濁「私にそんな持病はありません。で、盟主、装備のことでご相談が…」


W「純生グループ全体ではずっと前より、厳しい緊縮財政氷河期が続いているのは知っているな…?」


濁「は、はあ…」


W「オマケに、泣く思いで水着に20Mを捻出した途端に変身システムとやらが導入されたとあって、純生はだいぶ憤慨して荒れているらしいぞ」


濁「はあ…」


W「いまはさらに装備をくれだのといった稟議は通せぬ。ワシも命が惜しいでの」


濁「はぁ、そうですね… 分かりました、あきらめるしかなさそうですか」


W「ちなみにそのDC重だの武器だのは、倉庫のやりくりの関係でお前に仮に持たせているものだからな? 決して売り払って金を作ろうなどと思うな?」


濁「はあ、そんなことしたら純生が…」


W「72時間ぐらい連続で『お前はボケナスだ』とだけ書いた郵便を10秒おきに送ってくるに違いない」


濁「そ、それは恐ろしい!!陰湿モンスターじゃないですか!!」


W「純生はそういうヤツだ。気をつけろ」


濁「あー、どうしたもんか。なぁニャンニャン、何か妙案はないかね?」


パ「ぐるるる・・・、そう言われてもな。知り合いなどが居るわけもなし」


W「知り合いか…、おお、そうだ。それならオーク村にある者を訪ねて行ってみろ」


濁「オーク村?」


W「ちょっとした知り合いの者がいる。ヤツの立場ならなんとかなるかもしれん」










【オーク村 キングホール】




濁「うう、初めて来たが、何とも緊張感のある建物だな・・・
ああ、居た。あの方がハトス様」




ハトス「デジャカル オロカ! お前は何者だ!何ゆえにここへ来た!!」




濁「(声デカッ!!) じ、実は、Watchという我が盟主の紹介で参りまして…」


ハ「な、なに? Watchだと!?


濁「お、お知り合いなのですか?」



ハ「ああ、我が愛人の!









・・・








「は?」






ハ「はっ!! しまった!!」



濁「お、オークに、ドワ子の愛人・・・  は、犯罪だーー!!


パ「犯罪だーー!!



ハ「ちょ、ちょっと待て! こ、この話は内密に、穏便に… で、何用で来た?



(ああ盟主・・・ どこが『ちょっとした知り合い』なんですか、ドロドロじゃないですか)
 「あー、えーと、用事というのは他でもなく…」


ハ「幼児とはなんだ!!我らはちゃんと大人の関係を…
 はっ、しまった!!




濁「(ジト目)」


パ「(ジト目)」



ハ「あああ、あ、はい、用事… ですよ…ね? い、一体どのようなご用件で?(ニコニコ)



濁「(ジト目のまま)実はかくかくしかじかな用件で、装備を調達できないものかと…」


ハ「む、うーーーむ、+6セット装備はさすがに手持ちがない。我はウルトゥの族長とはいえ、ここに詰めている以上、まともな収入はなくてな」


濁「まあ、そうですよね。(でも愛人居るじゃんか・・・)


ハ「もはやあまり使い道がなくなったD-ZELや祝D-ZELならここに山ほどあるのだが・・・

そうだ!このZELを貼って自分でぬめり装備を目指してみたらどうかね?

ああ、いま思い出したが、最近我が一族のモカという者に、もはや使い手のいないD装備をまとめて下賜したばかりであった。
それを貴殿に回してもらえるよう、モカには我から連絡を入れよう」


濁「なるほど、自作ですか。では、このZELはもらっていってよろしいのですか?」


ハ「うわっはっはっは!当然だ。それは貴様・・・いや貴殿に授けようぞ、遠慮はいらぬ、ぶわっはっは!!





(トントン)





ハ「む、何だ?     ああっ! カカイ様!!!





カカイ「ハトスよ。ここは石造りで声がよく響くこと、オーク一族の声は総じてデカいことは分かっておろうな。・・・先ほどのやり取りは全て聞かせてもらった」



ハ「はっ!! はわわわわわわ…!」



カ「愛人とは穏やかな話ではない。
して、それはどのような具合だったのか、じっくりと聞かせてもらおう。
さあ、別室へ行こうではないか」



ハ「は、は、でじゃかる ぱあぐりおっ!」



濁「むう、何やら、もめ始めたようだ。退散しよう」


パ「そうだな。(・・・しかし、カカイもハトスと同類の匂いを感じるな…)











【ギラン ダークエルフギルド】


パ「で、モカ殿は件のD装備を純生にプレゼントしており、純生は一回試着したきりで倉庫に放り込んでいたので執着してなかった、と。
それがこのミスリルブレスト重か」



濁「なんという偶然。世の中狭いものだな」



パ「さて、いよいよOEを進めるが… ミスリルブレストでぬめりを得るには、3ピースも+6にしなければならぬが自信はあるか?」



濁「さあてな? しかし、いろいろとOE成功率を上げるジンクスは知っている」


パ「民間療法というか、民間信仰というか、そんなところか」


濁「例えば、ここにいらっしゃるカイラ様をタゲりながらだとOE成功率が上がる、と純生に聞いた」(※個人の感想です)



カイラ「なんだ、あの純生の知り合いか。残念ながら私の前でいろんなものが燃えるのを何度も見せてもらったぞ?」


濁「それでも結構です。他に頼れる方はいません。一品だけでも…」


カ「ふん、好きにしろ」







・・・・







濁「な!!


パ「何と!!一発成功!?



濁「さ、さすがカイラ様!素晴らしい!! 後で純生にぼた餅でも届けさせます!ありがとうございました!!」


カ「うむ、ぼた餅は相当に嫌いじゃない 純生によろしくな」











【ギラン城の村 郊外】


パ「おーい、濁生。どこへ行くつもりだー?」


濁「次なるジンクスだが、『走りながらOEすると成功率が上がる』とのことなので、走っている」(※個人の感想です)


パ「まことしやかなマヤカシ、という気がしなくもないが… ジンクスとはそういうものなのだろうか?」


濁「そりゃ、そりゃ!どんどん貼っていくぞ~」







・・・・









濁「や、やった! つ、ついに+6になった…ぞ…!





パ「…濁生。ここはもはやゴダードだぞ・・・」




濁「あ…ああ… 相当、走ったな… この疲労感、ハンパねぇ…(ばたり)」


パ「相当どころじゃない。このジンクスはどうやらダメだったようだな… 
さて、このあとはどうする? あと1ピース。まだジンクスとやらはあるのか?」


濁「はあはあ・・・ あるけど・・・もういいや。もうダメ元で、ジンクスに頼らず、その場で淡々と貼ってみようかと思う…」


パ「最初からそれでよかった気もするのだが… まあよい、せめて景色のいいところにでも行くか」







・・・







濁「で、できた・・・」



パ「できたな・・・」



濁「これが+6エンチャントされたミスリルブレスト重セット… う、討ち取ったり~!!



パ「いや、別に討ち取ったわけではあるまいが。あまりの単調作業に頭がおかしくなってるようだな」



濁「200枚近く貼ったような… どうも私にはOE運はない、という結論でよさそうだ…
ううっ(泣)」



パ「まあ、それはそれ。完成したからよいではないか。着てみたらどうだ」















濁「ああああ、これが夢にまで見たぬめり装備!!



パ「何か感じるものはあるか?」


濁「溢れ返る生命感・・・ +6セットの効力でHP自体も上がっているし、HP回復力も補正される… すごい!!」


パ「ふうむ、そんなものなのだな。しかし、そういえば、手足がないな」


濁「ああ、まだZELも若干残ってるし、何か適当なものを買ってきますか」




純生「待て待て、これを使え






濁「純生!どこでこの場所を嗅ぎ付けた!?」


純「まあ、ワタシは犬嗅ぎの純ちゃんと呼ばれておるからな。 ってオイ!!


濁「ノリツッコミはグラのスキルなのか、うらやましいな」


純「んな訳あるか。それはともかく、手足はワタシが調達してきた。ほれ」






パ「おお、これはアバの手足!」


純「そう、Bグレ装備は手足の2ピースでもセット効果が出る。アバ手足なら、HPアップ効果がでるはずだぞ」









濁「おおお、こ、これはすごい!HP上がった!!
 純生、ありがとう!! うっほほーーい!!






純「ま、礼には及ばんが・・・」


パ「凄まじく見た目がダサいな・・・






純「本人は喜んでいるようだし、オッケーということにしますか・・・」








濁「うっほほーーーーい!!!







ーーーこうして、オーク族由来のミスリルブレスト重は+6セットに昇華しました。
+6とはいえDグレ中級装備。この先、有効活用される機会はそうはない
のでしょうが、これでネタ的にもその役割を終えることができたのではないか、
とワタシは思っています。


本件のきっかけを作って下さいました、モカ・ウルトゥ様(実在)、
本当にありがとうございました。



なお、ハトス様のあの件についてはフィクション、かもしれませんが、
それはオークとドワーフで交わされている高度な協定により、明かされることのないまま
墓場に持っていかれるべき話であろうと思います。
ワタシは知ったこっちゃありませんww   【純生の中の人より】




ー完ー











執筆・構成:純生(2019)




追補:当時、お友達のモカ・ウルトゥさんからミスリルブレスト重一式を頂いて、実際に相当苦戦して+6セットにしたことから着想を得たお話です。

モカさんはその後グランカインからアイン鯖に移動して活動されていたはずです。近頃お会いできていませんが、当時と変わらずダジャレを連発しながら狩りをする日々を送ってらっしゃることを、祈念するのみでありますww


成原博士さん , 千代りんさん , マイちゃんさん が 「いいね!」と言っています。