【小さな謎解き CASE.5】亡者の森の物語(解決編)

やあ、おかえり。ルウンからの船旅は快適だったかい?
今、ハドソン夫人に紅茶を淹れてもらうように頼んだ。
早速で悪いが、先週の調査の報告をしてくれたまえ。









なるほど、まずはルウンのメイジギルドへ行ったが、司書は不在だったと。
そして司書の居場所は、図書館二階にいた秘書が知っていたんだね。







「白亜のイベントホールで開かれる、
甘さバツグンの紫紺のブドウとゴールドのキウイフルーツ、
煌めく珊瑚と瑪瑙のカトラリーがゴージャスなディナーショウ」

が、「あんごう」を表す時、

「ランチメニューの候補は、
キラキラの魔法をかけて、
聖母のように優しいオーナーシェフが試作したデザートの横に配置されている。」は?


…なるほど、たった4文字の「あんごう」を表すにしては、ずいぶん長い文章だ。
文章に惑わされずに構成要素を見ると、カタカナ・ひらがな・漢字(一文字)・漢字(二文字)の4種類。

このうち、「あ」を含んでいるのは、「白亜」「甘」の二つ。
次に「ん」を見ると、「ん」を含んでいるのは「紫紺」のみ。

つまり、この暗号で解につながるものは、漢字(二文字)だろうということがわかる。
漢字(二文字)のものは、「白亜(はく)」「紫紺(しこ)」「珊瑚(さん)」「瑪瑙(めの)」、
つまり、漢字(二文字)の読みの最後の文字を拾えばいいことがわかる。

すると、「候補(こう)」、「魔法(まほ)」、「聖母(せい)」、「試作(しさ)」、「配置(はい)」となり、
ほうぼくち(放牧地)、つまり猛獣の放牧地へ行ったんだね。





なるほど、これは、アルファベット26文字を横一列に紙に書き出すとわかりやすいな。
そのアルファベットの H Z  G  L  F の下に、 S  A  T  O  U を書き込む。
すると、アルファベットをシンプルに逆順からあてはめたものだとわかり、
「こおりやのこや(氷屋の小屋)」が導けたわけだね。





半年前の「消えた公女」事件の、可憐な公女メリッサか!
カースティンと知り合いだったとはね。




氷屋の小屋を出て、雪原をしばらく進んでトンネルを抜けると、





なんと、カースティンの霊と出会ったんだね。これは驚いた。
彼女の霊に導かれるまま、道の先にある沈黙の修道院へ向かい、





天窓から光が降り注ぎ、青い水を照らす幻想的な光景の中、
再び、カースティンの霊を見た。
彼女の魂の叫びに応えるべく、奥へと進み、ついにその「彼」と対峙した。





なんと、始まりの亡者の森で、君は「彼」と遭遇していたとは。
そう言えば、亡者の森があのような陰惨な様相を呈するようになったのは最近のことだという話があったね。
もしや、それもこの彼の仕業なのだろうか…





残念ながら、カースティンは既にこの世の者ではなかったが、
そしてその抜け殻となった身体は、今も呪われた村に囚われているのだろうが、




それは、カースティンの救済された魂が言ったように、もはや彼女の本質ではない。
身体は必ずいつか死を迎えて滅びるもの、魂の器に過ぎないとも言える。
その器だけが縛られ、虚ろな言葉を語らせられているとしても、それはただの邪悪な幻影だ。
彼女の本質である魂が救われたことは、誰より君自身が一番わかっていることだからね。




彼女の弟、警備兵イアン。
彼の視線の先にある真実。
いつか、彼がその目に映るものの意味に気づくことを願おう。


…そうそう、君がルウンを出る船に乗った後のことだから知らないだろうが、
依頼人から続報があるんだ。

あの後、依頼人が例の墓を訪れたところ、
墓石に何か、斧でも振り下ろしたような大きなひびが入っていて、
墓前には、一抱えもあるケーキのような、それは見事な花束が供えられていたそうなんだ。





…この世には、時として想像も説明もつかない不思議なことも起こるからね。
もしかしたら、君と同じようにカースティンの魂と邂逅した探偵の誰かが、
斧をふるって契約の墓石を打ち砕き、花束を供えて、
彼女の魂を忌まわしき契約から解き放つという奇跡を起こしたのではないだろうか。

そう考えると、今はもう、あの墓石の前を通っても不気味な声は聞こえなくなったという、
依頼人の言葉にも納得がいく気がするのだよ…




ということで、
今回は、「隠された真実」から始まる一連のクエストの設定、キーアイテムやNPCを利用して、
私なりの亡者の森の物語を仕掛けてみた。
なので、今回のルートはすべてルウン近辺に限定した。

本当は、亡者の森の入口近くにある、「壊れた本棚」だったかな、
そのキーアイテムも利用したかったのだが、凶悪なアクMOBがいる地帯なので、断念した。
基本的には、Lv1のキャラクターでも安全に参加できるような進行を心掛けているので。

他のプレイヤーの方も書いていらっしゃるように、
「隠された真実」の一連のクエストには、思い入れが強い人が多いと思う。
私自身、かつてこのクエストで得たアクセサリーは、いまだに倉庫に眠らせている。
このクエストが削除されたのは、本当に残念でならない。




ソリナ会の沈黙の修道院は、本来は一連のクエストとは無関係なのだが、
舞台となるルウンに近いこと、
今となっては訪れる者もなく眠らせておくには、あまりにももったいない魅力的な場所であることから採用した。
今回はルートに含めなかったけれど(アクMOBがいて、Lv1キャラなどでは危険すぎるため)、修道院二階のステンドグラスはとても美しい。




個人的には、今回の一連のシナリオの中で、
慟哭する魂がいた青い水に満たされた部屋の光景がとても好きだ。
無数の塵の舞う光の中にたたずむ魂という幻想的な景色を見せたくて、この物語に誘い込んだとすら思うほどに。


ところで、今回のラスト、
救済された魂の足元にあるハンドアックスは、とある探偵氏が彼女に贈ってくれたもの。




これによって、
契約の墓石が打ち砕かれ、花束を供えられ、カースティンの魂は完全に救済されるという、
仕掛人の想定以上の良いエンディングを綴ることが出来た。心からの感謝を。


馬路さん , バル族長さん , うらりんこさん 他6さん が 「いいね!」と言っています。

  • 柴乃 2020.7.12. 20:02
    瑪瑙(めのう)の漢字が読めなくって、IMEパッドで手入力して判読しました・・
  • エキュー 2020.7.12. 21:20
    最初瑪瑙を瑠璃と見間違えて、拡大して勘違いに気づきました。

    今回もとても素晴らしいストーリーをありがとうございました
    エンディングに泣きました
  • グラータ 2020.7.13. 17:21
    救済された魂までしか行かなかったので あと二人に話しかけ、続編を読んだような得した気分になりました。楽しい週末をありがとうございました。
  • うらりんこ 2020.7.13. 18:10
    ゴールした時の感動をなんと表現したらよいのでしょうか。
    謎解きも、ストーリーも楽しめて贅沢な時間をありがとうございました。
    亡者の森から放牧地へ初めて歩いていき、入り口に生垣の門があるのを初めて知りました。
    新しい発見もありがとうございました。
  • MissSherlock 2020.7.14. 19:21
    >柴乃氏

    瑪瑙は、私も読めるが書けなかったよ。
    この数日、瑪瑙が想定外にフィーチャーされる機会が増えたおかげで、今ならなんとか書けそうだが。

    >エキュー氏

    こちらこそ、感動的なエンディングをありがとう。
    貴女のご厚意の花束があればこそ、あのエンディングにたどりつけたのだよ。
    実のところ、私がエンディングを書くのは日曜の夜、記事を書いている瞬間になってからなので、
    それまでに参加してくれた探偵諸氏の行動で、エンディングは大きく左右されて決定されてきたからね。

    >グラータ氏

    慟哭する魂の前で朝まで寝落ちしていたね、可愛いドワ子さんの寝顔が微笑ましかったよ。
    今回もご参加ありがとう、毎回、週末を悩ませて過ごさせているのに、楽しんでくれて本当に感謝だ。

    >うらりんこ氏

    今回もご参加ありがとう、貴女の記事を拝見すると、今回はバディ探偵回だったらしいね。
    楽しそうで実に羨ましい、私も仲間に入って冒険したいと思ったよ。
    テレポート機能やエーレスキルで、簡単に目的地へ飛べるようになって便利なのもいいけど、
    今回のようにわざわざ時間をかけて歩くことで、懐かしかったり新鮮だったりする景色が見えるのも良いね。
  • グラータ 2020.7.16. 12:10
    謎解きでつまると助けを求めてしまいます。1度は考えます。考えてると寝てしまいます。まだ助けを求めるのは早い!と思って考えます。また寝てしまいます。・・・ここに10時間以上いる・・・答えが出てしまう・・・&ヒントほしい・・・とWCで叫んでしまいました。すると、解けましたか?とWISをいただき。そこから漢字の読めない私と謎解きの楽しさを奪ってはいけない。と、思ってる優しい方との戦いが始まりました。ヒントをいただき、私がひらめく、こうですね!と答えると、おしい!と返ってきてまた考える。こうですね!と答えると、そっちいちゃったかwと返ってきて私はまた考えて沈黙する。こうですね!と答えると、相手が困る。そして攻防を繰り返しギリギリでほぼ答えのヒントをもらうところまでいって、わかったぁあああああ!ほうぼくち!そう!おめでとう!やっとご飯が食べれるw・・・?!すいません!ご飯待たせてたのですね><!ありがとうございました!助かりました!と、お礼を言って次へ向かいました。そして次の出題のアルファベットで、うがぁああああと叫びました。その時思ったのが出題者はこの楽しみを作ってくれた人で、読んでる参加者の人たちはこの物語を大好きになって大切に大事に思ってるんだ。と、答えを言えば2時間近くも付き合わなくても良かったのに、私が答えを思いつくまで、その解けたときの感動を奪うことなくヒントをくれて、わかったとき一緒に喜び見送ってくれた人がいました。Miss Sherlock、そんな出会いと感動をくれてありがとう
  • MissSherlock 2020.7.17. 18:56
    >グラータ氏

    こちらこそ、素敵な冒険談をありがとう。
    貴重な週末の時間を割いて悩ませてしまい申し訳ないが、優しい探偵との邂逅につながったのなら、とてもうれしく思う。

    実のところ、私としては Watson君も悪くはないが、
    出来れば、探偵諸君同士で一緒に調査したり、情報交換するのが一番楽しいのではないかと思っている。
    私が仕掛ける小さな謎解きが、その舞台となれば望外の幸いだ。

    私自身は仕掛人であるため、どうしてもその輪に加われないが、
    こうして冒険談を寄せてくれることで共有させていただけて、本当にありがたい。

    グラータ探偵氏は、常日頃、クエストやレイドのサポートで活躍していらっしゃる。
    他者のために心を砕く貴殿の姿を見ていればこそ、なおさら手を差し伸べたくなる人も多いのではないかな。
    もちろん、今回貴殿が遭遇した優しい探偵氏は、
    ガラスのような繊細さで相手に共鳴して気配りをする、素敵な人なのは確かだと私も思っているがね。