【小さな謎解き】孤島の洋館の殺人事件(解決編)

孤島の洋館の事件現場に、
FS探偵諸氏が集結!




完全にサプライズの登場。
生放送配信直前の、放送テストを兼ねて訪れて下さったらしい。感謝。



【解決編】

事件現場となった洋館を訪れた探偵は、7人の容疑者たちの証言を集めた。































彼らはそれぞれ、①、② の二つの重要証言をしているが、
どちらか一方は真実、もう片方は虚偽を述べていることがわかった。

それを踏まえて推理し、謎が解けた探偵は七人の容疑者たちを大広間に集めて宣言した。

「あなたがた7人の証言には、本当のことと、嘘偽りとが一つずつあった。
それらを突き合わせて推理してゆくと、犯人はあなた以外にはあり得ないのです。
…あなたが真犯人ですね。」

そう言って指さした先にいた真犯人は、
伯爵家の庭師であった。…

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この問題には、必勝法がある(ライアーゲーム・秋山)。

誰か一人の発言を選んで起点として、
①、②のどちらかの証言を真実と仮定し、その前提で他の発言と照らし合わせてゆく。
その過程でもし矛盾が生じたら、もう片方の証言を真実と再仮定して照らし合わせてゆく。
これを繰り返せば、案外あっさりと真犯人を特定できるはずだ。

起点とするのはどの登場人物の発言でもよいのだが、
今回の問題で言えば、伯爵の甥の発言を起点とするのが最速かもしれない。

① 令嬢の婚約者は犯人ではない
② 庭師も犯人ではない

この二つのうちのどちらかが真実、どちらかが虚偽、ということは、
もし①が真実なら、自動的に②が虚偽、つまり、庭師が犯人となる。
逆にもし②が真実なら、①が虚偽、つまり令嬢の婚約者が犯人となる。
この時点で、犯人はその二人のうちのどちらかに絞り込めてしまうのだ。
あとは、それぞれを犯人と仮定して他の証言と突き合わせ、矛盾が出ない方が真犯人である。

この場合、次に令嬢の婚約者の発言と照らし合わせると、

① 犯人は、僕だ。
② 犯人は、メイドではない。

①が真実だとすると②が嘘ということになり、イコール、犯人はメイドということになる。
すると、婚約者もメイドも犯人ということになり、破綻する。
つまり、その時点で犯人は庭師と確定するのだ。

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後日、探偵の調査により、事件の全容が判明した。

十数年前、伯爵家の令嬢に重い心臓病が見つかり、伯爵はアデン中を走り回って治療法を探したが見つからなかった。
絶望のうちにルウンへ帰りついた伯爵は、村の近くの亡者の森へ迷い込み、森の入口で一人の黒魔術師と出会った。




ニドラーと名乗るその黒魔術師は、伯爵にこう提案した。
…令嬢の心臓はもうすぐ止まり、命を落とす。
しかし、もし令嬢と同じ年頃の健康な少女の身体が手に入るなら、
私が黒魔術で、止まった心臓と健康な心臓を入れ替えて令嬢を蘇らせてあげよう。…

その頃、伯爵家の庭師には、ちょうど令嬢と同い年の健康な娘が一人いた。
伯爵は庭師の娘を誘拐してニドラーに差し出し、令嬢は命をながらえた。
その代償として、庭師の娘の心臓以外の身体は、ニドラーの黒魔術の材料として持ち去られ切り刻まれた。
庭師は行方不明になった娘を必死に探したが、見つからないまま時が過ぎた。

最近になって、ふとしたことから伯爵とニドラーの契約書の存在を知り、真相にたどりついた庭師は伯爵を問い詰めて論争となり、
伯爵は庭師を解雇して厄介払いすることに決めた。
そんな伯爵を、庭師は到底許すことができなかったのだ。…

なお、その他にわかったこととしては、

・伯爵夫人は、
庭師の犯行現場を偶然、目撃していたが、
既に関係が冷え切っていた暴君の夫に嫌気がさしていたため、庭師をかばって犯人を知らないと嘘をついた。

・令嬢の婚約者は、
伯爵家に出入りするうち、いつしか令嬢とは正反対の、天真爛漫で素直な伯爵家のメイドと心を通い合わせるようになり、
そのことを知った伯爵はメイドを激しく叱責し、それを執事が見聞きしていた。
令嬢の婚約者がメイドをかばって自分が犯人だと嘘をついたのは、そういうわけであった。

・伯爵の甥も、庭師が犯人であると薄々察していたが、
恐喝のネタにして小金をせしめようと、庭師が犯人ではないと嘘をついたのだった。

・伯爵家の執事は、
使用人に対する伯爵の横暴な仕打ちに対しては、令嬢が目撃したように、待遇の改善を求めて毅然と抗議し、
一方で、口が軽く伯爵家の名誉への敬意が足りない今時の若い使用人には厳しい目を向ける、真面目な使用人としての証言だった。

・真犯人である庭師がメイドをかばったのは、
亡き娘と同じ年頃のメイドに、我が娘を重ねて可愛がっていたからである。

なおんちょさん , 千代りんさん , グラータさん 他6さん が 「いいね!」と言っています。

  • エキュー 2020.6.28. 23:26
    素晴らしい謎解きでした
    ストーリーもキャラクターたちの設定も素敵でした
  • 馬路 2020.6.29. 09:20
    お疲れ様でした。今回もとても凝った演出と舞台とストーリーで、大満足&大感謝です。
    いつのまにカルミからデーモンに衣装替えなさったのですかw
    庭師さんの無念を思うと、犯人とはいえ心が苦しくなりますね。
    ハーディンは!いつもそう!人の命や気持ちを道具としか思ってなくて!グランカインの傀儡!などと憤りもあり。
    リネのクエストをクリアしたときのようなもどかしさに、そうそうこれこれ、という懐古もあり。
    上質なリネミステリにいざなっていただき、ありがとうございます。
  • グラータ 2020.6.29. 13:37
    感動しかない。吸い込まれた、鳥肌が立った、最高に楽しかった。
    ありがとうございます。
    通り過ぎてたNPCに
    はじめて、それぞれにドラマがあるんだと知りました。
  • うらりんこ 2020.6.29. 18:16
    予告のスクリーンショットがらすでにミステリの世界に引き込まれました。
    素敵な謎解きの時間をありがとうございました。
  • MissSherlock 2020.6.29. 20:36
    >エキュー氏

    今回もご参加いただき、新聞記事(ブログ)として取り上げてもいただき、感謝する。
    数行という限られたセリフから物語を読み取ってくれて、大変うれしい。

    >馬路氏

    Miss Watson,
    "You see, but you do not observe. The distinction is clear. "
    あれはデーモンローブではなく、デスティノローブなのだ。
    探偵たる者、状況に応じて変装しているからね。

    今回、美しいイルミネーションをあのような形で使うのは躊躇したのだが。
    ところで、画伯の今週の作品も拝見した。あいかわらずお見事。そして、今しか作れない作品、確かに。

    >グラータ氏

    こちらこそ、ご参加いただきありがとう。しかもそのように最高の賛辞までいただき、私の方こそ感動で鳥肌が立つ思いだ。
    貴殿のお名前は、ラテン語由来とお見受けする。ミステリーで登場する謎の招待主の名前のようで、非常に良いね。

    >うらりんこ氏

    今回もご参加ありがとう。ワトソン君、ではなくて、ゴレ君にもよろしく伝えてくれたまえ。
    どうしても限定された表現になる中で、一枚の絵からも物語を感じ取ってくれて、大変うれしい。